新型コロナウイルス感染症受診相談の目安について加藤厚生労働大臣の発言が腹立たしいのはなぜ?

健康
国会議事堂に雷

相談の目安として示した「三七・五度以上の発熱が四日以上」が基準のように捉えられたとして、この文言を削除するのに伴って「われわれから見れば誤解」と述べた。

加藤厚生労働大臣の発言

この発言が、大きな波紋を呼んでいます。

私もこの発言を聞いて「は~?!」と叫んでしまいました。その後、腹立たしく思えてきました。

私と同じ思いを持たれた方は多いと思います。

今回は、この腹立たしさの原因は何なのか分析したいと思います。

※誤解と言われたくないので引用が多く長文になりますがご容赦ください。

2月17日の厚生労働省文書

2020年2月17日に厚生労働省からこのような文書が出ています。

                            事 務 連 絡
                            令和2年2月17日
都 道 府 県
各 保健所設置市 衛生主管部(局) 御中
特 別 区
                      厚生労働省健康局結核感染症課

   新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安について

 新型コロナウイルス感染症の相談・受診については、「新型コロナウイルス感染症に対応した医療体制について」(令和2年2月1日各都道府県衛生主管部(局)宛厚生労働省医政局地域医療計画課・健康局結核感染症課事務連絡)において、感染症指定医療機関に帰国者・接触者外来を設置すること及び各保健所等に帰国者・接触者相談センターを設置することにつきお願いさせていただいたところです。
 今般、新型コロナウイルス感染症専門家会議の議論を踏まえ、一般の方々に向けた新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安を別紙の通りとりまとめました。
これは、どのような方にどのような場合に相談・受診いただくのが適切か、その目安を示すことで、重症化するリスクのある方を含め、必要な方が適切なタイミングで医療を受けられる体制を確保することを目指したものです。
つきましては、内容を御了知の上、関係各所への周知及び住民の方々への情報発信を行っていただきますようお願いいたします。
なお、新型コロナウイルス感染症の予防に関して、住民の方々へ注意喚起いただく際にご活用いただけるよう、参考までにリーフレットも改めて送付させていただきます。
<参考>
○「新型コロナウイルス感染症に対応した医療体制について」(令和2年2月1日各都道府県衛生主管部(局)宛厚生労働省医政局地域医療計画課・健康局結核感染症課事務連絡)
○リーフレット「新型コロナウイルス感染症を防ぐには」

     新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安
1.相談・受診の前に心がけていただきたいこと
○ 発熱等の風邪症状が見られるときは、学校や会社を休み外出を控える。
○ 発熱等の風邪症状が見られたら、毎日、体温を測定して記録しておく。
2.帰国者・接触者相談センターに御相談いただく目安
○ 以下のいずれかに該当する方は、帰国者・接触者相談センターに御相談く
ださい。
風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く方
(解熱剤を飲み続けなければならない方も同様です。)
・ 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある方
○ なお、以下のような方は重症化しやすいため、この状態が2日程度続く場
合には、帰国者・接触者相談センターに御相談ください。
・ 高齢者
・ 糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD 等)の基礎疾患がある方や透析を受
けている方
・ 免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方

(妊婦の方へ)
妊婦の方については、念のため、重症化しやすい方と同様に、早めに帰国者・接触者相談センターに御相談ください。
(お子様をお持ちの方へ)
小児については、現時点で重症化しやすいとの報告はなく、新型コロナウイルス感染症については、目安どおりの対応をお願いします。
○ なお、現時点では新型コロナウイルス感染症以外の病気の方が圧倒的に多い状況であり、インフルエンザ等の心配があるときには、通常と同様に、かかりつけ医等に御相談ください。
3.相談後、医療機関にかかるときのお願い
○ 帰国者・接触者相談センターから受診を勧められた医療機関を受診してください。複数の医療機関を受診することはお控えください。
○ 医療機関を受診する際にはマスクを着用するほか、手洗いや咳エチケット(咳やくしゃみをする際に、マスクやティッシュ、ハンカチ、袖を使って、口や鼻をおさえる)の徹底をお願いします。

(後略)

厚生労働省事務連絡 抜粋

確かに目安として37.5℃以上4日以上が明記されています。

新型コロナウイルス感染症対策専門家会議見解

2020年2月24日には新型コロナウイルス感染症対策専門家会議から次のような見解が示されています。

  「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針の具体化に向けた見解」
                             2020 年 2 月 24 日
                  新型コロナウイルス感染症対策専門家会議
1.緒言
 この専門家会議は、新型コロナウイルス感染症の対策について、医学的な見地から助言等を行うため、適宜、政府に助言をしてきました。
 我々は、現在、感染の完全な防御が極めて難しいウイルスと闘っています。このウイルスの特徴上、一人一人の感染を完全に防止することは不可能です。
 ただし、感染の拡大のスピードを抑制することは可能だと考えられます。そのためには、これから1-2週間が急速な拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際となります。仮に感染の拡大が急速に進むと、患者数の爆発的な増加、医療従事者への感染リスクの増大、医療提供体制の破綻が起こりかねず、社会・経済活動の混乱なども深刻化する恐れがあります。
 これからとるべき対策の最大の目標は、感染の拡大のスピードを抑制し、可能な限り重症者の発生と死亡数を減らすことです。
 現在までに明らかになってきた情報をもとに、我々がどのように現状を分析し、どのような考えを持っているのかについて、市民に直接お伝えすることが専門家としての責務だと考え、この見解をとりまとめることとしました。なお、この内容はあくまでも現時点の見解であり、随時、変更される可能性があります。
2.日本国内の感染状況の評価
 2019 年 12 月初旬には、中国の武漢で第 1 例目の感染者が公式に報告されていますが、武漢の封鎖は2020年 1 月 23 日でした。したがって、その間、武漢と日本の間では多数の人々の往来があり、そのなかにはこのウイルスに感染していた人がいたと考えられます。
 既に、国内の複数の地域から、いつ、どこで、誰から感染したかわからない感染例が報告されてきており、国内の感染が急速に拡大しかねない状況にあります。したがって、中国の一部地域への渡航歴に関わらず、一層の警戒が必要な状況になってきました。このウイルスの特徴として、現在、感染を拡大させるリスクが高いのは、対面で人と人との距離が近い接触(互いに手を伸ばしたら届く距離)が、会話などで一定時間以上続き、多くの人々との間で交わされる環境だと考えられます。我々が最も懸念していることは、こうした環境での感染を通じ、一人の人から多数の人に感染するような事態が、様々な場所で、続けて起きることです。
3.これまでに判明してきた事実
(1)感染者の状況
新型コロナウイルスに感染した人は、ほとんどが無症状ないし軽症であり、既に回復している人
もいます。
国内の症例を分析すると、発熱や呼吸器症状が1週間前後持続することが多く、強いだるさ(倦怠感)を訴える人が多いです。
しかしながら、一部の症例は、人工呼吸器など集中治療を要する、重篤な肺炎症状を呈しており、季節性インフルエンザよりも入院期間が長くなる事例が報告されています。現時点までの調査では、高齢者・基礎疾患を有する者では重症化するリスクが高いと考えられます。
(2)感染経路などについて
これまでに判明している感染経路は、咳やくしゃみなどの飛沫感染と接触感染が主体です。空気感染は起きていないと考えています。ただし、例外的に、至近距離で、相対することにより、咳やくしゃみなどがなくても、感染する可能性が否定できません。
無症状や軽症の人であっても、他の人に感染を広げる例があるなど、感染力と重症度は必ずしも相関していません。このことが、この感染症への対応を極めて難しくしています。
(3)PCR 検査について
PCR 検査は、現状では、新型コロナウイルスを検出できる唯一の検査法であり、必要とされる場合に適切に実施する必要があります。
国内で感染が進行している現在、感染症を予防する政策の観点からは、全ての人に PCR 検査をすることは、このウイルスの対策として有効ではありません。また、既に産官学が懸命に努力していますが、設備や人員の制約のため、全ての人に PCR 検査をすることはできません。急激な感染拡大に備え、限られた PCR 検査の資源を、重症化のおそれがある方の検査のために集中させる必要があると考えます。
なお、迅速診断キットの開発も、現在、鋭意、進められています。
(4)医療機関の状況
首都圏を中心とした医療機関の多くの感染症病床は、ダイヤモンド・プリンセス号の状況を受けて、既に利用されている状況にあります。感染を心配した多くの人々が医療機関に殺到すると、医療提供体制がさらに混乱する恐れがあります。また、医療機関が感染を急速に拡大させる場所になりかねません。
4.みなさまにお願いしたいこと
 この1~2週間の動向が、国内で急速に感染が拡大するかどうかの瀬戸際であると考えています。
 そのため、我々市民がそれぞれできることを実践していかねばなりません。
特に、風邪や発熱などの軽い症状が出た場合には、外出をせず、自宅で療養してください。ただし、以下のような場合には、決して我慢することなく、直ちに都道府県に設置されている「帰国者・接触者相談センター」にご相談下さい。
風邪の症状や
37.5°C 以上の発熱が4日以上続いている(解熱剤を飲み続けなければならないときを含みます)
強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある
※ 高齢者や基礎疾患等のある方は、上の状態が2日程度続く場合
また、症状のない人も、それぞれが一日の行動パターンを見直し、対面で人と人との距離が近い接触(互いに手を伸ばしたら届く距離)が、会話などで一定時間以上続き、多くの人々との間で交わされるような環境に行くことをできる限り、回避して下さい。症状がなくても感染している可能性がありますが、心配だからといって、すぐに医療機関を受診しないで下さい。医療従事者や患者に感染を拡大させないよう、また医療機関に過重な負担とならないよう、ご留意ください。

教育機関、企業など事業者の皆様も、感染の急速な拡大を防ぐために大切な役割を担っています。
それぞれの活動の特徴を踏まえ、集会や行事の開催方法の変更、移動方法の分散、リモートワーク、オンライン会議などのできうる限りの工夫を講じるなど、協力してください。

新型コロナウイルス感染症対策専門家会議 見解

ここでも37.5℃以上4日以上が出てきます。

また、この文書の始めの方に出てくる緑色に着色した部分が濃厚接触者の定義にもなっています。

3月22日の厚生労働省の文書

3月22日には2月17日の文書を補足する形で事務連絡が出ています。

                              事 務 連 絡
                           令和2年3月 22 日
都道府 県
各 保健所設置市 衛生主管部(局) 御中
特 別 区
                  厚生労働省新型コロナウイルス感染症
                  対策推進本部
   新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安について
新型コロナウイルス感染症専門家会議の議論を踏まえ、一般の方々に向けた新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安については、「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安について」(令和2年2月 17 日各都道府県衛生主管部(局)宛健康局結核感染症課事務連絡)により周知したところです。
同周知の考え方について下記のとおり補足いたしますので、内容を御了知いただきますようお願いいたします。
                  記
帰国者・接触者相談センターに御相談いただく目安として、「風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く方」「強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある方」を挙げていますが、両方の条件がそろわないと相談できないと受け止められているのではないかとの声もあります。これら2条件がともにそろった方ではなく、どちらかの条件にあてはまる方には、帰国者・接触者相談センターまで御相談いただき、帰国者・接触者外来への受診調整を行う等の対応をお願いします。
○ また、目安では「風邪の症状や37.5度以上の発熱」のある方については「4日以上」となっているので、「強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)」のある方についても、4日以上続くことが必要と受け止められているのではないかとの声もあります。「強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)」のある方には、直ちに帰国者・接触者相談センターまで御相談いただき、帰国者・接触者外来への受診調整を行う等の対応をお願いします。
○ 「高齢者」などの重症化しやすい方々については、「2日程度続く場合には、帰国者・接触者相談センターに御相談」としています。これは2日程度続くまで待っていただきたいという趣旨ではないので、たとえ2日程度続いていなくても、相談のあった状況に応じて柔軟な対応をお願いします。
○ なお、「「帰国者・接触者相談センター」における「帰国者・接触者外来」への受診調整に係る留意事項について」(令和2年3月 13 日各都道府県衛生主管部(局)宛厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)でお知らせしたとおり、「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安」の運用に際しては、一律に相談の目安を適用するのではなく、その方の状況を踏まえ柔軟に判断し、「帰国者・接触者外来」の連絡先等を伝達いただくなどの運用を行っていただくようお願いします。

厚生労働省事務連絡

普通に読めば、目安を基準にして受診調整を行えと書いてあるように思えます。一番最後に、適当にやれと書いてあります。少し軌道修正をして医師の判断に委ねようという意図も見えます。これを、受け取った人はどのように対応すればよいのか?

私には理解に苦しみます。

5月8日厚生労働省文書

そして、厚生労働大臣の発言につながる文書です。

                             事 務 連 絡
                             令和2年5月8日
都 道 府 県
各 保健所設置市 衛生主管部(局) 御中
特 別 区
                   厚生労働省
                   新型コロナウイルス感染症対策推進本部
   新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安について
 新型コロナウイルス感染症の相談・受診については、「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安について」(令和2年2月17日各都道府県衛生主管部(局)宛厚生労働省健康局結核感染症課事務連絡)、「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安について」(令和2年3月22日各都道府県衛生主管部(局)宛厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部)において、お示ししたところです。
 今般、新型コロナウイルス感染症専門家会議の議論を踏まえ、一般の方々に向けた受診・相談の目安について、別紙の通り改訂致しました。
 これは、どのような方にどのような場合に相談・受診いただくのが適切か、その目安を示すことで、必要な方が適切なタイミングで医療を受けられる体制を確保することを目指したものです。運用につきましては、その方の状況をふまえ、柔軟に判断を行って頂きますようお願い致します。
 つきましては、内容を御了知の上、関係各所への周知及び住民の方々への情報発信を行っていただきますようお願いいたします。

厚生労働省事務連絡

この文章で新型コロナウイルス感染症対策専門会議の議論を踏まえと書いてある部分が、何を指しているのか曖昧で疑問が残るところです。考えられるポイントは、

  • 相談センター機能を担っている保健所の業務が過多
  • PCR検査などの検査体制
  • 軽症者も医師の判断で振り分け

と言うところではないかいと推測します。

まとめ

どう考えても、保健所等の現場では、厚生労働省から出ている目安を基準として受診の振り分けをするしかなかったと思います。

また、国民も同じく、この目安しか判断するものはなかったと思います。

それを、医療崩壊を招く恐れも乗り切りつつあるので、通常の医療体制(医師が患者の状態を見て判断)に切り替えていくために、目安の変更をしたものだと思います。

また、PCR検査だけでなく簡易検査キットや治療薬の認証等も大きな要因になっていると思います。

このように、状況が変わって、医療体制を変更するための目安の変更なのに、それを、国民と行政関係者の「誤解」という言葉で片付けようとしたところが一番の問題で、私が腹立たしく思っている原因です。

誰にも責任はない(最終的に死者が出たという責任は国にある)ところに、誤解と言う言葉で、国民と関係者に責任転嫁しようとしたところに最大の問題があります。

本当に腹立たしいですが、この腹立たしさは、国民の権利である参政権行使で解消したいと思います。

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