立会外分売ってお得なの?

投資入門
立会外分売

株式投資初心者にとって、なじみのない制度ですが、立会外分売というものがあります。

これは、上場企業が株式の流動性を高めたり、株主の数を増やしたりしたいなどの理由により行うものです。

大体3%程度のディスカウントで販売されるため、その後の値上がりが期待できます。

今回は、この立会外分売についてメリット・デメリットを含めて解説していきたいと思います。
約3分の2の確率で値上がりしていますので、注目している企業が立会外分売をした場合には、参加してみると良いかと思います。

立会外分売とは何?

ちょっとお堅いネーミングですが、文字通りの意味になります。

立会外とは取引時間外のことで、分売とは株式を分けて売るという意味になります。

もっと簡単に言ってしまえば、証券取引所で株式取引される時間外に、企業が保有している株を売り出すという取引です。

これは、企業側からすると様々な狙いがあって、市場に出回る株式の数を増やすためのものですが、その株を投資家に購入してもらうために若干のディスカウントをして販売する制度です。

企業が立会外分売を実施する理由

企業が立会外分売を実施する理由は主に3つあります。

1つ目は、「流動性を高めたい。」です。

株式市場での売買件数が減って流動性が低くなると、一般的に株式を売りたい時に売る、買いたい時に買うと言うことができなくなってしまいます。そうなると、投資家が離れていくことになり、更には株価の値下がりにつながっていくことになります。そこで、立会外分売を実施して最近低調になっている自社株式の売買を促すという狙いがあります。

2つ目は、「市場指定替えを狙っている。」です。

東証2部、マザーズやジャスダックなどに上場している企業が東証1部に上場することを目指して、株主数を増やすために行う場合があります。これは東証1部に上場するための要件として、2200人以上の株主がいることなどがあるためです。もし東証1部へ指定替えとなれば、格段に資金調達が容易となります。

3つ目は、「大量売りによる価格下落を抑える。」です。

企業が資金調達のために、正規の株式市場取引時間内に、自社株を大量に売りに出せば、ほぼ高い確率で大幅下落してしまいます。立会外分売の場合、通常であれば3%程度のディスカウントで販売するため、下落幅をその程度で抑えられるという効果が期待できます。

投資家のメリットは?

投資家の主なメリットは3つあります。

1つ目は、「ディスカウント価格で購入できる。」です。

通常、立会外分売は市場の価格より3%程度のディスカウントで販売されることが多いです。市場に出回っている株式にくらべれば、少量ですのでディスカウント価格よりも株価が下がることは低いです。

2つ目は、「取引手数料が無料。」です。

立会外分売では、取引手数料を無料にするというルールになっています。売却する時には通常通り手数料が必要ですが、購入する際の手数料は無料になります。

3つ目は、「指定替えによる株価上昇。」です。

企業側のねらいでも書きましたが、立会外分売を実施し株主数を増やし東証1部への指定替えが達成できれば、企業には大量の資金が流入してきます。そうなれば飛躍的に経営状況が改善し、株価が上昇していくことが予想されます。もしそのタイミングで売却できれば、大幅な利益が確保できます。

投資家のデメリットは?

投資家の主なデメリットは2つあります。

1つ目は、「必ず値上がりするとは限らない。」です。

立会外分売を実施すると、購入した投資家がすぐに売却することも多いため、株価が下落する場合もあります。2020年の勝率を見ると、約70%弱(立会外分売を実施する銘柄の3分の2が値上がりしている。)となっています。損することも往々にしてありますので注意が必要です。

2つ目は、「常に購入できる訳ではない。」です。

立会外分売は希望者が多いため抽選になることが多いです。また、1人当たりの購入枚数も制限されるため、思ったほどの数量を購入できる訳ではありません。もちろん、毎日、立会外分売している訳でもありませんので、常に購入できる訳もありません。

立会外分売に参加して稼ぐ方法

一番手っ取り早く、立会外分売で稼ぐ方法は、即売りです。

立会外分売実施後初日の値動きを見ると、始値で利益も確保できますが、その後高値を付けることが多いですので、サラリーマン以外で証券取引所取引時間内に売買できる方は、始値よりも値上がりしたタイミングで売買すると良いかと思います。サラリーマンの場合には、指値注文や始値成行で注文するしかないと思いますが、基本的に勝率が7割弱ありますので、そこまで厳密に儲けようと考えない方が良いかと思います。もちろん株価も急騰する訳ではありません(通常1~3%程度の利益)ので、大もうけできる訳ではありません。

また、値下がりした場合でも、極端に値下がりした銘柄はありませんでしたので、リスクリワードを考えても良い方法かと思います。

もちろん、中長期的に保有して東証1部に上場するのを待つという戦法もあります。必ず指定替えがあるわけではないので、あまり確実性はありません。

もし、自分が以前から注目している銘柄であれば、安く購入できるのでそれを中長期的に保有するということもあります。

実際に、中長期的に保有した場合の検証をしたことがないのでわかりませんが、どなたかわかれば教えてください。

まとめ

立会外分売は投資初心者にとって全くなじみがないものです。

企業側からすると、資金の流動性を高める場合や上場市場の指定替えを狙って立会外分売を実施しますが、投資家にとってもそのメリットは共有することができます。

立会外分売に参加して、即、売却という方法が一番、確実に利益を出していく方法になるかと思いますが、上昇幅は限定的ですので、当然、薄利です。戦法としてIPO(新規公開株)に似ていますが、そこまで大きな利益は出ません。

とにかく、複数参加して薄利多売ではないですが、利益を積み重ねていくことが良いと思います。

立会外分売を実施する情報は、公表されてから実施されるまでの間が非常に短いですので、証券会社のホームページなどの情報を小まめにチェックしておく必要があります。

立会外分売は株式取引をしていく上で、利益を出す方法の1つですので、投資初心者は一度勉強しておいて損はないと思います。大損することはほぼないので、できれば、一度、参加してみて体験してみるのも良いと思います。

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