NTTがまさかのdocomoを完全子会社化 TOBって何?

投資入門
スマホ競争激化

 NTTがNTTdocomoを完全子会社化というニュースを、目にして、正直驚きました。

 完全子会社化は、NTTにとって禁じ手だと思っていました。

 今でも、NTTはdocomoの株式の66%を保有しており、子会社として連携していましたが、残り全ての株を取得して完全子会社化することによってどのようなメリットがあるのでしょうか?

 今回は、NTTの社長の記者会見などを参考に、完全子会社化によるメリットについて書いてみようと思います。

 今回、完全子会社化するにあたって、NTTはTOB(株式公開買い付け)という手法を使います。投資初心者には耳慣れない言葉ですが、こちらについてもわかりやすく説明したいと思います。

NTTがdocomoを完全子会社化するメリット

 完全子会社化することによって、NTTはグループ全体で5Gネットワーク網の整備を強力に推し進めて、6Gネットワークの研究開発も積極的に行っていくようです。これは世界での携帯電話網開発競争で5Gでは大きく後れを取ってしまい、次世代の開発競争では世界をリードしたいと言う考えがあるようです。

 また、菅首相が、携帯電話の料金を更に値下げするように迫っているため、値下げをしながら5Gネットワーク網を整備し、次世代ネットワーク技術開発をするのは至難の業だと考えて、グループ全体で連携しながら行っていくため完全子会社化と言う選択になったようです。

 携帯主要3社の中の売上高を見ると、NTTdocomoが3位となっており、どのように合理化を進めても、値上げをしない限り上記のような取り組みで後れを取ってしまうと判断したようです。

 国内外の競争で現在のところ負けているので、NTTグループ全体で取り組みを進めて国内外の競争でトップになるということが最終的なメリットかと思います。

 完全子会社と言うことで、他の株主の発言はありませんので、TOBが終了後は、グループ内での意思決定の速さや連携のちぐはぐさは無くなります。

TOBって何?

 TOBとは日本語で言えば株式公開買付けと言います。不特定かつ多数の人に対して買付価格や期間などのお知らせをして、持っている株を売ってくれるようにお願いし、取引所外でそれらの株を買い付けることをいいます。

 企業を買収する時や合併・子会社化など企業グループの再編の時や、経営陣による買収で非上場化する場合などに利用されることが多いです。

 とにかく投資者保護の観点に立ったやり方で株式を買付ける方法です。

 またTOBでは、思い通りに株式買い付けができない場合には、不成立あるいは中止になることもあります。

 株主はTOBのお知らせで示された指定の証券会社に口座開設(代理人となる証券会社に株式を移管しなくてはなりません。)し、TOBの手続きを行うことで買付企業が提示したTOB価格で保有株を買い取ってもらことができます。

 TOB発表後も上場が継続する場合は、保有している証券会社に売却注文を出すことができます。その場合、自分の買付単価と、TOB銘柄の売買状況やTOB買付価格を確認しておく必要があります。

 もちろんTOB発表後も売却やTOBに参加することなく、継続保有をすることもできます。しかし、TOB終了後に上場廃止となる銘柄もあるため、上場廃止後の手続きは該当企業等とやり取りすることになりますので、かなり面倒だと思います。

 また、TOB公表後に対象銘柄を市場で購入し、TOBの申込をおこなうことでTOBに参加することも可能です。このケースはTOB買付価格を下回る価格で購入できる場合であり、かつ株式購入手数料や移管手数料(代理人となる証券会社以外で購入する場合)、移管にかかる振替え日数を事前に確認する必要があります。特定口座内で購入することで特定口座内での損益通算が可能です。

docomoの株価はどうなる?

 9月29日の市場取引終了後にTOB価格が3,900円と発表されました。通常、株価はTOB価格にかなり近づくものですので、今回も同じぐらいの株価になって行くと思われます。

 今回はNTTがTOBに応募したすべての株主から株式を買い取ることを宣言したいるため、TOBが成立すれば、NTTdocomoの株主は、市場で株式を売却しても、TOBに応募しても、ほぼ同じ損益を確保することができます。

 今回のTOB価格は平均的なTOBのプレミアム(約30%)より高く、約40%のプレミアムが付いています。そのため、TOBに納得して応募する株主も多くと思います。

 NTTによるTOBの成立ラインも全体の1%強を取得してしまえば成立してしまうので、TOB成立は確実です。

まとめ

 NTTグループで一番稼いでいたのはdocomoでした。そのdocomoが携帯業界で売り上げがトップではなく第3位になっているため本来であれば値上げで解消していくところですが、政府からの圧力もあり、それはかないません。

 5Gのネットワーク網整備や次世代技術等の開発を進めていこうと思えば、グループ全体で連携していかなくてはできない状況です。

 今回のTOBでNTTは4兆2000億円の資金調達を金融機関から行います。それだけの有利子負債を抱えてもやらなければならない、それだけの回収できる利益が見込めると判断したようです。

 KDDIやソフトバンクも次の一手を打ってくるかもしれません。NTTが一手打ったことによって業界全体の競争がさらに激化することが予想されます。最終的には我々は、料金の値下げや5Gによる環境変化という恩恵を受ける訳ですが、どうなっていくのか見極める必要があります。

 しかし、楽天モバイルはどうなっちゃうんでしょうか?

 かなり競争からおいていかれているような気がしますが・・・

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